Category: 幸福の情景 [単発短編集]  1/4

ANNIVERSARY

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寒い冬の午後。日曜日。仕事は休みだ。炬燵に入ってぬくぬくとする。蜜柑を剥きながらふと窓に目をやると、結露で涙のように水が滴り落ちていた。それはもしかしたら、あの時の君の涙かも知れないーー。どうかしている、そう思いながらも、心の何処かでどうしてもそんな事を考えてしまう俺が居た。あの別れから三年。罰せられるべきは、俺の心だーー。部屋のサボテンが萎れてしまった。大した事ではないのだが、なんだか泣けて来て...

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苦しくて、悲しくて、胸が痛い。思えばここまで、長かった。あの子の事を忘れようとして、足掻き続けた日々。終わりの見えない己の日常を、谷のどん底から見上げるような、そんな何処か他人事のような日々でもあった。抜けるような青空。反対に、僕の心はまだ痛い。一歩一歩、重たい足を引きずるようにして、少しずつ踏み締めてゆく。ふと振り向くと、一陣の風が吹き抜けていった。己のありようとは正反対の、爽やかな風。ここで、...

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Life is love [FOREVER & EVER]

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ズシン、と重たい音が背後から響いた。何事かと思い振り向いてみると、我が相方さんが階段からジャンプして飛び降りたのだった。綺麗な着地ではあったようだが、あまり驚かせないで欲しい。「なぁ雪坊、何段も上からジャンプなんかして、足の裏とか痛くないのか?」「全然。余裕、余裕。」この目の前の巨大な物体の事をこの学校の連中は皆、雪坊と呼ぶ。ちなみに僕はヤマアラシと呼ばれている。この私立高の連中は、小学校から持ち...

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月曜日のエレジー

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野良猫が街を往く。真冬の朝。今朝は特に冷え込んでいる。今日は月曜日。毎週、この時はいつも二人揃って無言だ。「今日は、こっち。」僕の彼の出社ルートは二つある。今日はハズレ。このルートだと、少ししか一緒に居られない。終始、無言。「じゃ。」それだけ、たったそれだけの一言を残して、彼は僕の元を去って行った。これから土曜日まで、長い長い一週間が始まる。また逢えるかどうか、いつも不安だ。いつ離れ離れになっても...

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