Archive: 2019年02月  1/12

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苦しくて、悲しくて、胸が痛い。思えばここまで、長かった。あの子の事を忘れようとして、足掻き続けた日々。終わりの見えない己の日常を、谷のどん底から見上げるような、そんな何処か他人事のような日々でもあった。抜けるような青空。反対に、僕の心はまだ痛い。一歩一歩、重たい足を引きずるようにして、少しずつ踏み締めてゆく。ふと振り向くと、一陣の風が吹き抜けていった。己のありようとは正反対の、爽やかな風。ここで、...

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習作 5 : [短文六連]

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雨雨が降る地面にぶつかって、弾けて音が鳴る静かだ、それでもこんな日は、ぼくに少しばかりの悦びをくれる泣き虫の空と、のんびり、ゆらり静かだ*夜心が疼く夜の闇に紛れて、空を舞い上がる今日もまた、駄目だったあの人は、見向きもしてくれなかったそれでも、ぼくはめげないいつの日かきっと、晴れ間は見えるはずだからその時、あの人がたとえ隣に居なくても今のぼくならきっと、まだ大丈夫また飛べたよそんな想いを胸に抱いて...

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三つ子とオウム [前編]

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空が傾いていた。澄み渡った茜色の空が美しいのだが、それをぶち壊すように子供達がいつにも増して騒がしい。子供達は、三つ子だった。珍しいのである。三人共、現在十歳。「うるさーい!すぐに静かにしないと、晩飯抜きー!」あまりにうるさいので、年の離れた姉の叫び声が聞こえた。まぁ、いつもの光景ではある。三人を養う為にキャバクラにお勤めのお姉さん、とても美人な上に気立てが良くて、若くはないにもかかわらずお店では...

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三つ子とオウム [後編]

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雨がそぼ降る夕方。双葉君は、三つ子の家へと遊びに行った。この頃ハム乃助を連れて、こうして三つ子の面倒を見に行く事が多い。着くとちょうど、三つ子の姉の出勤時間。いつも通りの同伴出勤、だから早いのだ。そう、姉は人気者なので、同伴出勤の場合が多い。昼間もメイクにヘアサロン。忙しいのである。お店のナンバーワン常連なので収入は多いが、いざという時の為に貯金は欠かさない。それでももちろん、仕事柄出費は多いので...

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Life is love [FOREVER & EVER]

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ズシン、と重たい音が背後から響いた。何事かと思い振り向いてみると、我が相方さんが階段からジャンプして飛び降りたのだった。綺麗な着地ではあったようだが、あまり驚かせないで欲しい。「なぁ雪坊、何段も上からジャンプなんかして、足の裏とか痛くないのか?」「全然。余裕、余裕。」この目の前の巨大な物体の事をこの学校の連中は皆、雪坊と呼ぶ。ちなみに僕はヤマアラシと呼ばれている。この私立高の連中は、小学校から持ち...

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月曜日のエレジー

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野良猫が街を往く。真冬の朝。今朝は特に冷え込んでいる。今日は月曜日。毎週、この時はいつも二人揃って無言だ。「今日は、こっち。」僕の彼の出社ルートは二つある。今日はハズレ。このルートだと、少ししか一緒に居られない。終始、無言。「じゃ。」それだけ、たったそれだけの一言を残して、彼は僕の元を去って行った。これから土曜日まで、長い長い一週間が始まる。また逢えるかどうか、いつも不安だ。いつ離れ離れになっても...

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ぷくぷくの詩

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そこは日本の片隅の、小さな農村。段々畑が広がる、長閑な田舎。その一角に、両親に先立たれた兄弟がおばあと暮らす、古ぼけた小屋があった。両親は自動車事故に遭って、兄弟の目の前で、見るも無残な姿に変わり果てた。それ以来兄弟は、おばあの家で暮らしている。本当は辛かったし寂しかったが、二人は弱音を吐かなかった。一人じゃない。そう思えたから、寂しさなんて吹き飛ばせた。兄弟は日が経つにつれて、丸っこく縦にも横に...

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千灯谷の詩

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日本から遠く離れた、遥か彼方の地。全世界の神々が集う、聖域があった。その地は人々から Thousandlights Valley と呼ばれ、崇拝と畏怖の対象となっていた。日本では、千灯谷(せんとうごく)と呼ばれる。この地に入れるのは、心清らかな人間や魂だけ。たとえ矢折れ力尽きていたとしても、魂の清らかさが証明されれば、神にだってなれる。そのような場所。支配するのは、青い鳥たち。地球の神々をも超越する力を持つ、異世界からの...

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Meets Fallen Angel I

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夢を見ていた。また悪夢だった。寝ている間にかいた汗が、じっとりと背中に纏わり付く。「今、何時だ……。」携帯に手を伸ばして待ち受けを表示させると、画面上の時計は午前二時を指し示していた。「畜生、まだこんな時間か……。」マコトは舌打ちをすると、横たえていた身体をゆっくりと起こして欠伸を噛み殺す。ふとテーブルの上に目を遣ると、飲みかけのペットボトルが冷蔵庫にしまわれる事なく置き去りにされていた。「喉、渇いた...

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Meets Fallen Angel II

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もう、三時間は経っただろうか。心の痛みなど微塵も感じていないのに、生気を喪った目からは止め処なく涙が溢れる。「てめぇみてぇな糞野郎が生きてっから、俺がこんなに苛々すんだろうが!」喧嘩慣れしたマサルの渾身のドロップキックが、無防備に曝け出されたユタカの下腹部に、深く決まった。「うぼぇっっ!!!」息も絶え絶えのユタカは、堪らずに鮮血混じりの内容物を吐瀉するも、それが気管に入る事によって呼吸が益々苦しく...

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