Archive: 2019年03月  1/2

[ NEW ! ] きみと共に歩こう

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玄関先。スニーカーを履く。靴紐を解いて、結んで。ちょっと気取って香水なんか振ってみる。パパのをちょっと借りた。ジーンズの裾はロールアップ。お気に入りのトートを肩に掛けて、家を飛び出す。ふわっ!一陣の風が舞った。ここはマンションだが、よくある外廊下なのでこうした事は度々ある。エレベーターホールまで駆け出すと、買い物帰りのお隣のおばあちゃんと顔を合わせた。「裕太くん、お出掛けかい?」ぼくは黙って大きく...

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ANNIVERSARY

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寒い冬の午後。日曜日。仕事は休みだ。炬燵に入ってぬくぬくとする。蜜柑を剥きながらふと窓に目をやると、結露で涙のように水が滴り落ちていた。それはもしかしたら、あの時の君の涙かも知れないーー。どうかしている、そう思いながらも、心の何処かでどうしてもそんな事を考えてしまう俺が居た。あの別れから三年。罰せられるべきは、俺の心だーー。部屋のサボテンが萎れてしまった。大した事ではないのだが、なんだか泣けて来て...

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ペン助・ペン太のほっこり劇場 [其の一]

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夏。北国の水族館。皆、ペンギンの到着を待っていた。だが、待てど暮らせどやっては来ない。運搬していた車が、速度超過でスリップして事故を起こしたのだ。衝撃で後部の扉が開く。すると、中のペンギン二羽が我先にと脱走していった。一目散に消えて行くペンギン。そのスピードは意外と早く、事故で脚を負傷した運転手には、捕まえられなかった。ペンギンの種類は、マゼランペンギン。まだ水族館までにはだいぶ距離がある。これは...

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ペン助・ペン太のほっこり劇場 [其の二]

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午後。南西向きの寝室で。控えめに入る西日が、眩しい。それにしても、どこか気怠い。やる気が起きない。ベッドの上に転がる。布団にくるまって。死んだように。もう、寝ようか。季節は晩秋。そろそろ、肌寒い。今日、夏太郎と。付き合い始めてから、初めての喧嘩をした。酷いのだ。僕の事をブスだと言うのだ。そんなにブスなら、付き合わなければ良いではないか。そう思う。勝手に、出て行けば良いのだ。悔しくて、悲しくて、嗚咽...

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ペン助・ペン太のほっこり劇場 [其の三]

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雑踏を歩く。空は傾いて、夜の足音がひたひたと迫る。餌を買った。ペン助とペン太が待っている。重いけれども、急いで帰ろう。ふと、振り向くと。見慣れた影が二つ。ペン助とペン太だ。「ペン助!ペン太!何でこんな所に!」駆け寄ると、珍しく抱き付いてくる。「刃物を持った男が家の中に入って来たんだ。無理矢理さらわれて、逃げるのに苦労したょ。」「何せいきなり気絶させられて、胴体を縄でグルグル巻きだからな。車でさらわ...

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ペン助・ペン太のほっこり劇場 [其の四]

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季節は冬。掘り炬燵を造った。まぁそうは言っても、別に自分達は何もしていないのだが。中庭の見える洋間を、和室に変えてもらっての事だ。ついでに元々あったペアガラスを、より高価で性能の高い真空ガラスに替えてもらった。それからは、我が家は結露知らず。中庭のガラスで効果があった事に気を良くして、家中のガラスを真空ガラスに交換したのだった。クリアなガラス越しにペンギンを眺めながら、お茶を片手にほっこりとしたひ...

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The Seasons : Winter [お鍋と、愛と、缶ビール]

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お鍋を囲んでいた。他に誰もいないぼくの部屋で、猛くんと二人で。付き合っている訳ではない。唯一無二の親友なのだ。というか、認めたくはないけれど、今の所はそういう事になっている。鍋奉行はぼくの役目だ。カセットコンロ上のお鍋に具材や鍋の素やお水を入れていって、火を付ける。時々かき回したり、灰汁を取ったり。猛くんはというと、ぼくが録画しておいたアニメを集中しているんだかいないんだかな風情で観ている。とはい...

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The Seasons : Spring I [こころの色、さくら色]

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今から遡る事ちょうど一年前の春に、ぼくと猛くんは大学のキャンパスで出会った。さくら舞う季節、頰の色もさくら色。幼く見えるほどの童顔で、短い髪がとても良く似合っていた。そんな猛くんを見て、ぼくはいっぺんに一目惚れをした。最初は、遠巻きにちらりちらりと、見ているだけだった。でもその内に、話してみたいという思いが募っていった。さくらの花びらが散り始めたある日のお昼休み、いつも独りで食事を摂っている猛くん...

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The Seasons : Spring II [Theme Park Romance]

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先日のお花見の時にも思っていたのだが、桜もすっかり散ってしまい、これからは夏のイベントについて真剣に考えなければならない。来年は就職活動真っ只中、行くとしても日帰りで江ノ島がせいぜいだろう。お金と語学力がないので海外は厳しいけれど、この夏休みを利用して国内二泊三日の旅行位はしておきたい。猛くんとの思い出作りは、自分にとっては本当に大事な事なのだ。今はお昼休みで食事中。相談にはもってこいの時間だ。「...

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The Seasons : Summer [照り付ける太陽に惹かれて]

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只今、自室のベッドにて、塞ぎ込み中。就活が上手くいかない。全くと言っていい程、手応えがない。ぼくは幼い頃に実の両親を車の事故で亡くして以来ずっと、子供が欲しかったのに出来なかった親戚の家で我が子のように可愛がってもらっていた。本当ならこれ以上迷惑は掛けられないのだが、これはひょっとすると義父のコネに頼る他ないのか、といった所まで事態は切迫していた。二流の大学に通っていると、こういう時に苦労するのだ...

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