憧れ

静寂の庭で
君と戯れる
白い妖精と
僕が呼ぶ君は
掴もうとする手
何時でもかわして
何処までも、ひらり
舞い続けるから
僕は少しだけ
羨ましくなる
僕の背中にも
羽があったなら
掴もうとする手
皆のしがらみを
ひらりとかわして
憧れであった
貴方の元へと
飛んでいけるのに
あの時の白い
妖精のように

畜生!

そろそろ我慢の
限界が来てさ
家を飛び出すと
決めてみたけれど
僕は蝶じゃない
羽根などないから
逃げ切れないから

それでも何故だか
言い聞かせてみる
やるしかないって!
今しかないって!

そんな事を考え始めた次の瞬間、庭の外でクラクションが何度も鳴り響いた
まるで考え直せと言わんばかりの絶妙なタイミングに僕は呆気に取られ、ひとまず一つ深呼吸をしてみる事にする

心の中には
黒い塊が
蠢いていてさ
時折、大きく
口を開けている
エゴを飲み込んで
奴は育つのだ

貴方に逢いたい
そんな願いさえ
黒い塊が
育っていくのに
ちょうど良さそうな
エゴに違いない

一陣の風が
頬を吹き付ける
駆け落ちだなんて
柄でもなかった
涙も、ここまで
流れてしまうと
何だか安いね
気味が悪い程

失意の底で、貴方に逢えない事を意味もなく嘆いた
空は今朝も何処までも青く高く澄み切っていて、白い妖精は相変わらず逃げ上手だ
僕も生まれ変わったら、あの白い妖精になりたいと、そして大空を貴方の側で羽ばたきたいと、半ば本気で思ってみるのだった
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