泪橋

ジリジリと照り付ける陽射しが眩しい
まるで道行く全ての人の心が白日の下に晒されている様で、鬱陶しい事この上ない夏の午後

道に置かれた花束の
横で泣き崩れる人を
眺め、胸チクリと痛む
俺が同じ目に遭っても
そこに花束は無いから
遠い世界の出来事を
ガラス越しに眺めるだけ
それだけの心の動き

そんな自分がもどかしく
両手で頬を打ってみた
それでも胸はそれ以上
痛む事もなく沈黙
心の暗部をこうして
覗いて気分が悪くて
俺は逃げる様に去った

向かった先は、泪橋
今は名前を変えている
その橋をゆっくり渡る

打ち捨てられた魂の
一つ一つを磨いたら
皆、鈍色に煌めいた
あともう少し、早ければ
救われたかも、しれないと
俺にはそんな気さえした
場も弁えず、恥ずかしい
それでも同情などせず
同じ人間としてただ
寄り添った事、それだけは
恥ずかしくないと思えた

照り付ける陽射しが眩しい泪橋を後にして、俺もまだ人間なのだと確認出来た事に、ほっと胸を撫で下ろすのだった
関連記事

0コメント

コメント投稿