恋の降る場所へ

暗く冷たい海を行く
手が悴んで、力さえ
まともに入らず、思わず
雲間に届く叫び声
鈍色の空、落ちそうで
白い煙が立ち込める

それでも僕は諦めず
オールを漕いで進んでく
温かな場所、清らかな
恋の広がる場所までは
嵐の中でも、前へと
諦めないで、進んでく

貴方が居た事、忘れられない
叶う筈のない初恋が
空から降ってきた喜び
少年の夏、遥か遠く
それでも、大人になりきれず
思春期の海を漕いでいく

何時になったら大人になれる?
崩れ落ちそうな空に聞く
孤独を知って、強くなったら
こんな僕にも温かな
恋は降ってくれるのでしょうか?
愛は降ってくれるのでしょうか?

波は高く、向かい風強くて
へたばりそうになるけれど
ここで何もかも投げ出したって
海の藻屑となるだけだ
まだ漕げる、まだ行ける
初恋の魔法、自分に掛けて

まだ鮮明に、覚えてる
貴方はとても、清明でした
冬の空にも、夏の空にも
負けない位に、澄んでいました
もう一度、会えるなら
その時僕は、少しでも
成長出来た自分を
残らず、余す所なく見せたくて
だからチャンスを、私にください
一目見て、涙を流して
笑顔を見せたら、今度こそ
貴方の事は、忘れます

視界不良な白い煙を
割って進んで、もがき続ける
この苦ささえ、甘いのだと
気付き始めた冬の空
重く、分厚く、とても切ない

甘い孤独に流されながら
それでも僕は、諦めない
恋の降る場所へ、愛の降る場所へ
迷わず進もう
辿り着く頃には、きっともう大人になっているから
でも、忘れまい
この孤独を、ずっと忘れまい
温めて抱き締めて、糧にして、それが貴方でなくても
いつか誰かに出会えたら
僕の思春期は、終わるのだろう

成層圏に雨は降らない
でも、晴天だけの人生なんて、つまらないじゃないか!
それに気付いた僕の背中は、前よりきっと少しだけ
大きくなって、いる筈だから

だから進もう、胸を張って
恋の広がる場所へ、愛の広がる場所へ……
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