海の見える街

意識の底で
また帰りたい
そう願うのは
いつ頃からか
母なる海は
どの表情も
どの温もりも
嵐でさえも
君に似ていた
そんな気がした
もう一度だけ
やり直せたら

海の底へと
沈んでいくと
闇に紛れて
心、落ち着く
まるでいつかの
君との逢瀬
心のよすが
温めて、なお
沈黙だけが
支配する中
一人孤独に
旅に出ようか

空と海とが
混ざり合う夜
明日に向かって
トランク一つ
精魂尽きて
愛に飢えても
海は寡黙に
ただ待っている

君の居ぬ間に
無数の夜明け
今日もまた、ほら
水面煌めく
もう一度だけ
逢えるのならば
こんな笑顔を
見せて欲しいと

ただ呟いて
泣いていました
母なる海は
ただ懐かしく
昨日も今日も
穏やかでした

振り返って
君が居たなら
何度でも
その名を呼ぼう

振り返って
海があるなら
何度でも
君を思い出そう

こんな私が
愚かだとしても
母なる海は
見捨てはすまい

海の見えるこの街で
私はずっと生きていく
この街を選ばなかった君と
どんな未来なら描けただろうか
そんな想い、胸に秘め
今日も君の面影を宿した
この街の海との時間を
大切に温めよう
それが君との
最後の約束でもあったはずだから
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