別離の夜

凍える夜
悴む手を
君に差し出して
微笑んでみたよ
もう他には
何も無くて
何も出来なくて
それで、もうね
笑うしか、無くて

一緒にだなんて
もう無理だからさ
せめて君だけは
幸せになって
笑うんだよ
笑うんだよ
今の僕の
嘘まみれの
笑顔じゃなくてさ
向日葵のように
太陽のように
いつまでもさ
笑うんだよ

そしたらきっと、ね
僕のこんなにも
崩れ切った
心の破片も
いつか、どこかで、さ
くっついて、光る
きっと、そうだ
ホントさ、ねぇ

思えば、こんなに
時間が経っても
逃れられなくて
何も出来なくて
生という鎖
いまだに解けない

ね、どうしたらいい?

君が去ると
もう駄目だと
いうのに、まだ
生にしがみ付き
見苦しいな
でも、仕方ないよ
消えるのだってさ
簡単じゃなくて
君の前でだと
泣くのだって
難しくて

だから今は
吹雪の中
前に進む
ただひたすら
だって今が
最後の夜
だから君と
手を繋いで
笑ってみる
だから君は
もっと、ずっと
嬉しそうに
笑うんだよ
笑うんだよ

辺りはもう
視界不良
空が暴れ
足元さえ
覚束ない

吹雪の中
傘などもう
役に立たず
睫毛が凍って
空が嗤う

カモメの群れが
飛び回っていた
それは昨日の
この丘での事
海を間近に
臨むこの場所で
カモメはゆらり
楽しそうだった

なぁ、カモメよ
僕を何処かへ
ずっと遠くへ
連れて行っては
くれないだろうか?
そんな問い掛けに
カモメは答えず
ふらりと彼方へ
消えてしまった

思えば君は
寒空でも
元気そうだった
あのカモメに似ている
自由に飛び回れば、いいさ
僕なんかの事は
綺麗さっぱり
忘れてしまって

同情なら、要らないよ
そこまで堕ちては
いない筈なんだ
だから笑って
飛び回るが、いいさ

僕に言えるのは
もう、それだけだ

僕は泣かないよ
そう決めたからさ
代わりに、笑って
見送るから
だから君も
笑うんだよ
もっと器用に
もっと上手に
笑うんだよ
笑うんだよ
そうして、飛び回るんだ
自由に、気ままに
いつでも、そうして
僕に救いを……

それで、いいよ
それだけで、いいよ

だから笑って……
泣かないで、さぁ!
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