真実への失踪

君だけを
見つめつつ
それだけじゃ
足りなくて
胸の中
もどかしい

僕を見つめる君の目に
嘘が無いのは知っていた
けれど僕にはその想い
少し重くて、逃げたくて
時に独りで荒れてみる
だって、このまま朽ちていく
そんな事では辛過ぎる

僕はゲイだ
このままでは
寂し過ぎる
親の勧め
そんな事に
絡め取られ
決まった事
この結婚
その行く末
最初から、見えていた

手を伸ばせば
届きそうな
林檎の実も
齧ればもう
万事休す

なぁ、君よ
僕で良いのか?

そう問うても
君は引かず
僕にはもう
なす術無い

不甲斐ない
この僕の
こんなにも
悪辣な
腹の内

良くある事さ
けれどそれでも
許されはせず

身動きさえも
取れないままに
むざむざ歳を
取るなんて事
僕だってもう
許せないのに

紙切れ一枚
その重みにもう
耐え切れなかった
僕にはここから
消える事以外
道は無いようで
絶望しながら

まだ眠る君に
最後の口付け
そしてお別れを……

当てもなくふらり
何処までも行こう
せめて独りで居られる何処かへ……
いっそ川にでも、飛び込もうか
案外それが幸せへの近道かもね
その時、そう思った時
不意に追い風が吹いた

僕の居場所はもうない
世界中、どこにもない
そんな分かりきっていたことに気付いて
今更気付いて

ただ、狂ったように泣いた
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