透明人間

崩れ落ちそうな
ビルの前にある
寂れたバス停
俺はすぐ側の
ベンチに腰掛け
崩れ落ちそうな
俺自身をただ
労わり続ける

空は何処までも
青く澄み切って
透明なんだよ
俺みたいにさぁ

なぁ、誰か俺が見えるだろう?
街行く人に
俺は目で、問い掛ける

けれども
誰一人として
視線すら合わせずに
俺を避けて
逃げて行く

そういえば
人間ってさぁ
見たいものしか見えない
我儘な生き物なんだよな
見る必要のないものは
視界には入っていても
認識しないんだな

だから俺が透明なのは
誰からも必要とされてないからなんだよな

そう気付いて
もう手遅れだと悟って
俺は目の前のビルよりも早く
地面に崩れ落ちた

その時久々に
透明人間ではなくなって
俺は不覚にも
……嬉しかった
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