春を待つ人

池の畔で
君が来るのを
ベンチに座り
ただ待っている

風は冷たく
春は遠くて
指先がもう
悴んでいる

ふと見上げると
雀が枝に
留まって僕を
見下ろしている

笑いたければ
笑うがいいさ
往生際が
悪いようでさ

君がここには
もう来ない事
分かっていても
つい来てしまう

君と逢う時
僕はいつでも
ここに座って
待っていたっけ

初めて君と
逢った日も、そう
最後に君と
逢った日も、そう

あの日、見上げた
枝の先には
桜の花が
無数に開き

僕らをまるで
祝うようだった
二人で、桜
ずっと眺めて

楽しかったよ

ねぇ、君よ
あの雀よりも
高い所から

僕を笑ってさ
見下ろしておくれ

そうしてくれたら
僕はまた君を
真っ直ぐ見つめて
生きて行けるから

それで、いいから

一頻り泣いて
それでも君の
気配を少しも
感じないから
僕はまたここに
やって来るだろう

いつの日か君が
この想い出の
ベンチに座って
待っている僕に
せめてもう一度
微笑むまでは
諦めないから

何度でも、そう
何度でも来よう

雀に馬鹿だと
罵られても
僕は大丈夫
君を待っている

……春、まだ来ないね
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