雪恋歌 [Part 2]

六花達を踏み潰す
一歩、一歩踏みしめて
その度に靴底と
地面の間で逃げられない
六弁が悲鳴を上げる

コートの布地が揺れる
時折風が巻き込んで
音を立てて踊り出す
今日は芯から冷える
それでも俺はいつも
見た目ばかり気にして
コートの前を開けて
布地を踊らせている

なぁ、お前
こんな俺に嫌気がさして
冷たい雨の日、水たまりを前にして
お前の事よりもコートが汚れるのを気にした
こんな俺に嫌気がさして
居なくなってしまったんだろう?
きっとそうに、違いない

春、恋しくて
君、愛しくて

桜、舞い散る
季節の中で
二人、寄り添う

そんな記憶が
まだ温かく

それでも冬は
いよいよ深まり

体、芯まで
冷えて久しく

この雪の中
うずもれてゆく
そんな心が
いよいよ痛んで

俺は地団駄を踏んで
六花達を蹴散らした

あの桜の木の下で
もう一度、やり直せたら

俺は蹲り
疼く心を抱きかかえて
お前に逢える日を
ただひたすら
待ち侘びていた

それが無駄だという事も
分かっていながら、俺は
こんなにも歪な形で、今もなお
お前を愛しているのだと
まるであの日のお前の心は
俺に踏み潰された、この
六花達ではなかったかと

そう思えて、遂に心がはち切れて
独り、己の体を抱き締めて、声が枯れるまで、泣いた
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